20代で薄毛が気になり始めると、将来への不安やコンプレックスを抱えてしまう方も少なくありません。しかし実際には、20代の薄毛は決して珍しいことではなく、適切な対策を行えば改善できる可能性も十分にあります。

この記事では、20代で薄毛になる原因について、遺伝や生活習慣などの外的要因から詳しく解説します。また、薄毛の進行パターンやAGA(男性型脱毛症)との見分け方、最適な治療法についても紹介します。薄毛のメカニズムを正しく理解することで、自分に合った対策を見つけ、早期改善を目指しましょう。

20代で薄毛になる仕組み・進行パターン・原因

薄毛の直接的な原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝や生活習慣、ストレスなど複数の要因が複雑に絡み合って引き起こされると考えられています。厳密に言えば、年齢によって薄毛の原因が変わるのではなく、加齢とともに間接的な要因が徐々に蓄積されていくことが、大きいと言えるでしょう。

それでは、薄毛の仕組みや進行パターン、原因を詳しく確認していきましょう。

薄毛になる仕組み

薄毛の主な原因であるAGA(男性型脱毛症)は、ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンが大きく関わっています。DHTは、毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合し、ヘアサイクルを乱すことで毛髪の成長期を短縮させます。その結果、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまい、細く短い毛が増加し、薄毛が進行していきます。

参考文献：男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

薄毛の進行パターン

薄毛の進行パターンは人それぞれですが、いくつかの典型的なパターンがあります。代表的なものとして、M字ハゲ・O字ハゲ・U字ハゲなどが挙げられます。

M字ハゲ(画像上部)

M字ハゲは、額の生え際が後退し、M字のような形になる薄毛のパターン。AGAの初期症状としてよく見られ、進行すると額の両端から頭頂部にかけて薄毛が広がっていきます。20代では、このM字ハゲからAGAの症状が始まるケースが多いといわれています。

O字ハゲ(画像中央)

O字ハゲは、頭頂部を中心に円形に薄毛が進行するパターン。AGAの進行した状態で見られることが多く、初期段階では気づきにくい場合もあります。頭頂部の髪の毛が細くなり、とくにつむじあたりが薄くなる傾向にあります。

U字ハゲ(画像下部)

U字ハゲは、額の生え際と頭頂部の薄毛が繋がり、U字のような形になるパターン。M字ハゲやO字ハゲが進行した結果、U字ハゲになるケースが一般的です。

薄毛の外部的要因

薄毛は遺伝的要因だけでなく、生活習慣やストレスなどの間接的要因も大きく影響します。これらの要因が重なることで、薄毛が進行しやすくなります。

遺伝

AGAの発症には遺伝的要因が大きく関わるといわれています。両親や祖父母に薄毛の人がいる場合、薄毛になりやすい傾向があります。特に、母方の祖父が薄毛の場合、その遺伝子を受け継ぐ可能性が高くなるというデータもあるようです。

しかし、遺伝的要因があっても、必ずしも薄毛になるわけではありません。

ストレス

強いストレスは、自律神経のバランスを乱し、血行不良を引き起こします。頭皮への血流が滞ると、毛根に十分な栄養が行き渡らなくなり、髪の毛の成長が阻害されます。また、ストレスは男性ホルモンの分泌を促進する作用もあり、AGAの進行を加速させる要因となります。ストレスを溜め込まないよう、適度な運動や趣味の時間を作るなど、工夫をした生活を心がけましょう。

生活習慣の乱れ

食生活の乱れ、睡眠不足、喫煙、過度な飲酒などは、薄毛を進行させる要因といえるでしょう。栄養バランスの偏った食事は、髪の毛の成長に必要な栄養素が不足し、健康な髪の毛を育てることができません。睡眠不足は、成長ホルモンの分泌を抑制し、髪の毛の成長サイクルを乱します。喫煙は、血管を収縮させ、頭皮への血流を悪化させます。過度な飲酒は、肝臓に負担をかけ、栄養の吸収を阻害します。健康な髪の毛を維持するためには、バランスの良い食事、十分な睡眠、禁煙、節酒を心がけることが重要です。

薄毛は一般的にAGA(男性型脱毛症)

20代の薄毛で悩んでいる方は、まずAGA(男性型脱毛症)の可能性を疑いましょう。AGAは思春期以降に発症する進行性の脱毛症で、成人男性によく見られ、主に前頭と頭頂部の髪が薄くなるのが特徴であるため、早期発見・早期治療が大切です。

若年性脱毛とAGAの違いは？

若年性脱毛とAGAは、症状は一緒です。

若年性脱毛は、思春期に一時的に起こる脱毛症で、成長期におけるホルモンバランスの乱れが原因と考えられています。多くの場合、自然に回復しますが、AGAだった場合は薄毛が進行します。

まずはセルフチェックでAGAか確認！

薄毛が気になり始めたら、まずはセルフチェックを行いましょう。AGAの可能性があるかどうかを簡易的に判断することができます。ただし、自己判断はあくまで参考程度とし、正確な診断は専門医に相談するようにしてください。

若いうちは換毛期の場合もある

20代では、AGA以外にも一時的な脱毛が起こる場合があります。特に季節の変わり目には、毛髪の生え変わるサイクルである「換毛期」の影響で抜け毛が増えることがあります。換毛期による抜け毛は一時的なものなので、過度に心配する必要はありません。

AGAセルフチェックリストで今すぐ確認！

以下のセルフチェックリストで、AGAの可能性を確認してみましょう。

抜け毛の本数

1日に100本以上の抜け毛が続いている場合は、AGAの可能性があります。お風呂や枕元の抜け毛の本数を目安に確認してみましょう。抜け毛の本数を正確に数えるのは難しいですが、明らかに抜け毛が増えたと感じる場合はAGAの可能性があります。

抜け毛の質

抜け落ちた髪の毛の太さを確認してみましょう。細く短い毛が増えている場合は、AGAの初期症状である可能性があります。健康な髪の毛は太いですが、AGAが進行すると毛根が弱り、髪の毛が細く短くなります。また、毛根の形も重要な判断材料です。健康な毛根は丸みを帯びていますが、AGAの場合は毛根が小さくなったり、萎縮したりします。

頭皮の状態

頭皮が脂っぽかったり、かゆみを伴ったりする場合は、AGAのリスクが高まる可能性があります。AGAは男性ホルモンの影響で皮脂分泌が過剰になるため、頭皮環境が悪化しやすくなります。また、頭皮が硬くなっている場合は、血行不良を引き起こし、毛根に栄養が行き渡らなくなるため、薄毛を進行させる原因となります。

家族歴

父親や祖父、兄弟など、血縁者に薄毛の人がいる場合は、遺伝的にAGAを発症する可能性が高くなります。AGAは遺伝的な要因が大きく関わっているため、家族の頭皮状況を確認することをおすすめします。

生活習慣

食生活の乱れや睡眠不足、過度なストレスなどもAGAの進行を早める要因となります。バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレスを溜め込まない生活を心がけましょう。これらの生活習慣の改善は、AGA予防だけでなく、健康維持にも繋がります。

今回ご紹介したチェック項目に複数当てはまる場合は、AGAの可能性が高いと考えられます。早めに専門医に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。

薄毛になった時の効果的な治療方法

薄毛対策には様々な方法がありますが、大きく分けて以下の3つの方法があります。

20代の薄毛改善では、AGA治療が選ばれることが多い傾向にありますが、他の方法も状況に応じて有効な選択肢となります。

カツラ

カツラは、部分的な薄毛にも全体的な薄毛にも対応できるため、手軽に薄毛をカバーできる方法です。近年では、より自然な見た目のカツラが増え、違和感なく使用できるようになっています。ただし、毎日のお手入れが必要であり、ランニングコストがかかる点も考慮する必要があります。

部分ウィッグ

部分ウィッグとは、薄毛やボリュームが気になる部分だけをカバーするウィッグのこと。価格も比較的安価で、初めてカツラを使用する人におすすめです。アデランスやアートネイチャーなど、多くのメーカーから販売されています。

フルウィッグ

フルウィッグとは、頭部全体を覆うタイプのウィッグのこと。薄毛の範囲が広い場合や、完全に隠したい場合に適しています。より自然な仕上がりを求める場合は、オーダーメイドで作成することも可能です。

育毛剤・発毛剤

頭皮環境を整える育毛剤

育毛剤は、頭皮環境を整え、髪を健康に保つことを目的とした医薬部外品です。直接的な発毛効果はありませんが、頭皮に栄養を届けやすくすることで、間接的に髪の成長をサポートする役割を果たします。

発毛効果を期待できる発毛剤

発毛剤は、医学的に効果が認められているミノキシジルを配合した、髪の毛を生やすことを目的とする医薬品です。市販で購入できますが、第一類医薬品に分類されるため、薬剤師の説明を受けなければなりません。

AGA治療

AGA治療は、大きく分けて3つの治療方法があります。

内服薬・外用薬

AGA治療では、内服薬と外用薬が基本的な治療方法とされています。内服薬で体内からAGAの進行を防ぎ、外用薬で気になる箇所を直接治療する、併用治療が推奨されています。

20代であれば、内服薬のみで改善が期待できることが多いため、まずは医師に相談をしてみましょう。

育毛メソセラピー

育毛メソセラピーは、発毛を促進する成長因子や有効成分を注射やレーザーを使用して頭皮に直接注入する治療方法。内服薬や外用薬と比べて、費用は高めですが、効果が表れるまでの期間が短いとされています。そのため、予算に余裕がある場合には検討する価値のある治療方法です。

自毛植毛

植毛治療には、「自毛植毛」と「人工毛植毛」の2種類がありますが、現在主流なのは自毛植毛です。自毛植毛は自分の毛髪を移植するため、拒絶反応が起こりづらく、自然な仕上がりになります。また、定着すれば半永久的に生え続けるのが特徴です。

20代の薄毛におすすめの治療法はAGA治療

20代の薄毛治療で最も効果が期待できるのはAGA治療です。AGAは進行性の脱毛症のため、早めの対策が重要になります。特に20代で薄毛が気になり始めた場合、初期段階であることが多いため、適切な治療を早期に始めることで進行を防げる可能性が高まります。

AGAを放置し、30代や40代になってから治療を始めても、手遅れの場合がほとんど。だからこそ、今のうちにしっかりと対策や治療を行い、将来のために先行投資することがおすすめです。

しかし、20代では費用の問題や、治療が周囲にバレることへの抵抗から、治療を先延ばしにしがちです。 ただし、最近では月1,000円台から始められる治療や、オンライン診療も注目を集めているため、これらを詳しく解説していきます。

AGA治療の費用

AGA治療は自由診療(※1)に該当するので、クリニック毎に治療薬の料金が設定されており、同じ治療薬でも料金がバラバラなことが多いです。そのため、AGA治療は高額な治療というイメージが付きがちですが、実はそんなこともないのです。

※1 自由診療とは、健康保険が適用されない治療のことで患者が費用を全額負担する。

AGAクリニックによっては大量仕入れができたり、オンライン化を進めることで、安価にAGA治療薬を提供しているクリニックもあります。ここからは、料金が安いAGAクリニックの治療薬を紹介していきます。

オンライン診療が主流

コロナの感染拡大以降AGAは、オンラインによる診療が主流になりつつあります。また、オンライン診療専門のAGAクリニックも台頭し、今後さらに加速されると予想されています。

オンライン診療は通院の時間や費用を節約できるだけでなく、プライバシーにも配慮されているため、周囲に知られることなくAGA治療を受けることができます。

また、継続的な治療が重要なAGA治療において、継続率の向上に繋がるという利点も組み合わせています。

毛母細胞の活性化が見込める

20代は毛母細胞の活性が高く、AGA治療の効果が出やすい時期といわれています。とくに、ミノキシジルは発毛効果が認められている成分で、頭皮の血行を促進し、毛母細胞に栄養を届けることで発毛を促します。

このように20代の若いうちに薄毛治療を開始することで、毛母細胞を活性化させ、より高い効果に期待ができるのです。

30代や40代になり同じ効果を求めようとしても、基本的には20代の方が効果は高いといえるでしょう。

将来的なコスト削減に繋がる

AGAは進行性の病気であるため、放置するとどんどん悪化し、将来的により大掛かりな治療が必要になります。

例えば、植毛治療は一般的に100万円ほどかかるため、20代の若いうちから治療を始めることで、将来の治療費の負担を抑えられる可能性があります。

また、薄毛によるコンプレックスや精神的な負担を軽減できることも、大きなメリットといえるでしょう。

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10代や20代がAGA治療を受ける際の注意点

10代や20代でAGA治療を検討する際に、大きく3つの注意点があります。

副作用が稀に出る

AGA治療薬は、まれに副作用が生じることがあります。

これらの副作用は発生頻度が低いものの、症状が出た場合には治療を中断する必要があります。もし副作用が出た際は自分で対処せず、必ず治療を受けたAGAクリニックに連絡しましょう。

10代は治療の前に親の同意が必要

10代でAGA治療を受ける場合は、一般的に親の同意が必要になります。これは、治療に伴うリスクや副作用について、未成年者自身が十分に理解し判断することが難しいとされているためです。

ただし、クリニックによっては未成年者の治療を受け付けていない場合もあるので、事前に確認が必要です。

治療効果には個人差がある

AGA治療の効果には個人差があります。一般的に、効果を実感するには3ヶ月～6ヶ月程度の期間が必要とされています。また、治療を継続しても、発毛効果が得られない場合もあります。効果が実感できないからといって、自己判断で薬の服用量を増やしたり、他の治療薬と併用したりすることは危険なのでやめましょう。

薄毛治療での個人輸入はNG

薄毛治療薬の個人輸入は、一見手軽で安価な選択肢に思えるかもしれませんが、様々なリスクが潜んでいるため、絶対に避けるべきです。健康被害や金銭的な損失を招く可能性が高く、安全な治療を望むのであれば、医師の診察を受け、正規ルートで治療薬を入手することが重要です。

個人輸入の危険性

個人輸入で入手した薬には、偽造品や粗悪品が混入しているリスクがあります。有効成分が全く含まれていなかったり、説明書が読めなかったり、健康被害につながる可能性があります。

また、海外で承認されている薬であっても、日本では未承認の成分が含まれている場合があり、予期せぬ副作用が起こる可能性も否定できません。

偽造品の危険性

個人輸入で流通しているAGA治療薬の中には、偽造品が紛れているケースが少なくありません。これらの偽造品は、外見は正規品と酷似していても、有効成分が全く含まれていなかったり、有害物質が混入していたりする可能性があります。厚生労働省も医薬品の個人輸入に関する注意喚起を行っており、偽造品の危険性を指摘しています。

また、個人輸入した薬を服用し副作用が出て医師に診療してもらう場合、服用したAGA治療薬の知見がなく、正確な処置ができないこともあります。

法的リスク

日本では、厚生労働省やPMDA（医薬品医療機器総合機構）では正規ルートでの治療や購入を推奨しています。また、海外通販サイトで購入できる薬でも、国内での使用や販売には薬機法が適用されるため、罰則の対象になることもあるようです。

AGAクリニックでの治療を推奨

薄毛治療は、個人輸入を利用せず、医療機関を受診することが大切です。医師の診察を受け、適切な治療法を選択することで、安全かつ効果的に薄毛を改善することができます。AGAクリニックは、正規ルートで入手した安全な治療薬を処方してもらうことができます。

また、副作用への対応も適切に行われるため、安心して治療を受けることができます。

20代の薄毛でよくある質問

ここでは、20代の薄毛に関するよくある質問をまとめました。治療を検討している方は、参考にしてみてください。

AGA治療は20代で治りますか？

AGAは完治する病気ではありませんが、20代から治療を始めることで進行を早期に抑えることができ、将来的な毛髪状態の維持につながります。早めの治療は、有効な“先行投資”といえるでしょう。

AGA治療はどれくらいで効果が出ますか？

AGA治療の効果が現れるまでには個人差がありますが、一般的には3ヶ月～6ヶ月程度かかるといわれています。

女性も20代で薄毛になりますか？

はい、女性も20代で薄毛になる可能性があります。女性の薄毛は、FAGA（女性男性型脱毛症）と呼ばれ、生活習慣の乱れやストレス、ホルモンバランスの乱れ、過度なダイエットが影響しているといわれています。女性の薄毛治療はAGA治療と異なることが多いため、専門の医療機関を受診することをおすすめします。

育毛シャンプーに効果はありますか？

育毛シャンプーは、頭皮環境を整え、髪の成長をサポートする効果が期待できます。ただし、根本的な解決は難しく、効果はAGA治療と比べて低いといえるでしょう。

内服薬以外の治療方法がありますか？

内服薬以外にも、外用薬（ミノキシジルなど）、育毛メソセラピー、自毛植毛など、様々な治療方法があります。これらの方法は内服薬と比較して高額な治療になるため、費用面や治療の継続性を考慮しながら、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

まとめ

20代で薄毛が気になる場合は、まずAGAの可能性を疑い、セルフチェックや専門クリニックで原因を特定することが大切です。治療薬としてはフィナステリドやミノキシジルが代表的で、早期に治療を始めるほど進行を抑えやすくなります。

基本的にオンライン診療をおすすめしますが、初回は対面治療を希望する場合には、どちらも対応しているAGAクリニックを選びましょう。